20-01

20-01 御料ダムの地質

 士別市や名寄市の東部では、日高累層群の上に新第三紀層が不整合の関係で直接接している。古第三紀の長い間、この地域に「ウエンシリ地塊」と呼ばれる山地があり、陸化していたため、古第三紀の地層を欠いている。その後、中新世中期の1,300万年前頃になると、活発な火山活動が始まった。陸上での火山活動による安山岩溶岩、火山砕屑物さらに土石流堆積物により美深層が形成された(下川周辺において美深層は下川層群と呼ばれていた)。さらに鮮新世も200万年前頃になると、ウエンシリ地塊が再び上昇をはじめ、そこからの砕屑物が天塩川堆積盆地に流れ込み、厚い河成性の地層を形成した。この地層が鮮新世の川西層である。川西層は半固結状態の礫層や砂層である。

 士別市や名寄市東部の丘陵地の大部分は新第三紀中新世の火山性堆積物である美深層から構成されている。美深層は陸上で噴火した火山からもたらされた溶岩や火山砕屑物などを主とした地層である。また、土石流堆積物も頻繁にみられ、変化に富む地層である。

 古くは下川周辺に分布する美深層を下川層群と呼んだ。このため風連ダムや御料ダムにおいてダム基礎地質を下川層群フーレベツ火山噴出物としている*。現在では、下川層群は新第三紀の美深層とされている。

 天塩川沿いの丘陵地には、新第三紀鮮新世の河川堆積物である川西層が分布している。半固結状態の砂岩と礫岩からなる、当時の天塩川により形成された地層である。河川の堆積物のため、岩相も変化に富む。現在の河川の中州の堆積物を想像するとわかりやすい。御料ダムは右岸が美深層上に、左岸が川西層上に建設されている。

 

 御料ダムの地質調査においては、右岸を新第三紀鮮新世フーレベツ火山噴出物、左岸を新第三紀鮮新世パンケ層*としている。フーレベツ層は風連ダムの項で述べた新第三紀中新世美深層(下川層群)の溶岩、火山砕屑岩を主体とする火山噴出物である。左岸のパンケ層は現在川西層と呼ばれる新第三紀鮮新世の河床堆積物である。右岸のフーレベツ火山噴出物(美深層)は風連ダムの項で述べたように、フィルダムの基礎として地質上の問題点はほとんどない。しかし左岸のパンケ層は新第三紀鮮新世の川西層に相当する河床堆積物であり、半固結かつ層相変化が著しい。またダム基礎としては高い透水性とともに浸透破壊が問題となる。

 この砂礫層の透水性を改良する方法として、二重管ダブルパッカー工法が採用された。注入材料としては、分離抵抗性の増加を目的としてベントナイトセメントが用いられた。注入前の砂岩および礫岩層のルジオン値は40ルジオン程度であったが、注入後のルジオン値は3ルジオン以下に低下したと報告されている。

 御料ダムのダム湖のまわりには300本のエゾヤマザクラが植えてあり、桜の名所とのこと。現在は忠烈布ダムに「ふうれん望湖台自然公園」ができたため、風連町のレジャーの中心は,こちらに移動したそうである。時間が許せば、忠烈布ダムも訪れるとよい。緩いカーブを描く自由越流式の洪水吐が印象的である。御料ダム、忠烈布ダム、いずれのダムも天端への立ち入りが可能である。

 ダム見学の帰りには、風連町の屋外美術館に立ち寄ると楽しい。「農業施設は巨匠たちの美術館」と称して、農業施設の壁面を大きなキャンバスに見立て、ミレーの「落穂ひろい」、「晩鐘」、「羊飼いの少女」などが描かれている。

型式:ロックフィル

完成年度:1986年

堤高/堤頂長:24m/606m

総貯水量:578万m

水系名河川名:天塩川/長根川

*1 下川層群(美深層):風連ダム、御料ダムの地質調査においては、ダムの基礎地質を新第三紀鮮新世下川層群フーレベツ火山砕屑物としている。下川地域に分布する美深層は、かつて下川層群と呼ばれていたためである。新第三紀の溶岩、火山砕屑物や土石流堆積物から構成されるこの地質は、現在は美深層と呼ばれる。現在の知見によれば、下川層群(美深層)は鮮新世ではなく、中新世の地層とされる。

*2川西層(パンケ層):御料ダムの地質調査においては、左岸の地質を新第三紀鮮新世パンケ層としている。この地層は、一般名として川西層と呼ばれており、旧天塩川の河床堆積物であり、半固結状態の礫岩層、砂岩層、泥岩層からなる。士別市街東部にある九十九山の土取り場に川西層の大露頭があり、堆積状況をつぶさに観察できる。恐らく士別市民に最もよく知られた露頭であろう。

20 御料ダム