40-01 風連ダムの基礎
士別市や名寄市東部の丘陵地の大部分は新第三紀中新世の火山性堆積物である美深層から構成されている。美深層は陸上で噴火した火山からもたらされた溶岩や火山砕屑物などを主とした地層である。また、土石流堆積物も頻繁にみられ、変化に富む地層である。
古くは下川周辺に分布する美深層を下川層群と呼んだ。このため風連ダムや御料ダムにおいてダム基礎地質を下川層群フーレベツ火山噴出物としている*1。現在では、下川層群は新第三紀の美深層とされている。
天塩川沿いの丘陵地には、新第三紀鮮新世の河川堆積物である川西層が分布している。半固結状態の砂岩と礫岩からなる、当時の天塩川により形成された地層である。河川の堆積物のため、岩相も変化に富む。現在の河川の中州の堆積物を想像するとわかりやすい。御料ダムは右岸が美深層上に、左岸が川西層上に建設されている。
風連ダムの地質は新第三紀中新世美深層の溶岩、火山砕屑物および土石流堆積物である。小杉、友成、赤羽、平瀬による論文「風連ダムしゃ水材料の改良」(「土と基礎、第22巻」)に添付された地質断面図は、この地質の実態をよく反映した図面である。このことは名寄市風連東生にある火山砕屑物および土石流堆積物の露頭を見れば明らかである。安山岩礫が多量に含まれ、砂や泥がごちゃ混ぜになっており、普通の堆積物にある「上方細粒化」がない。この露頭は風連ダム北方2㎞の道道206号下川風連線沿いある。
風連ダムの基礎は、地質学的には安山岩および軽石を礫とする火山砕屑岩である。亀裂はほとんどなく透水性は著しく低い。断層や破砕帯もなく、遮水性を重視するコア部の基礎においては、風化し透水性の高い表層を除去すればよい。一方ロック部の基礎は、一定の支持力、せん断強度を有すればよく、ロック材程度の力学的性質があればよい。ロック材はダム下流左岸の美深層の地山から採取されている。河床砂礫の強度も、ロック材程度はあると判断されたのであろう。また、砂礫層の透水係数が101m/day~100m/day程度であり十分な排水機能を有しており、ロック部の基礎として利用可能としたのであろう。ロック部は5m程度の砂礫層の上に載っている。
風連ダム貯水池左岸側地山には滑落崖の明瞭な地すべり地形が3か所存在する。比較的新しい地すべりと考えられ、さらに地すべり脚部が貯水池にかかっており注意が必要である。
風連ダムは自然豊かな地域にあるが、頻繁にヒグマの出没する場所である。このため山菜採りや釣り人以外に訪れる人はほとんどなく、ひっそりとしている。またダムからピヤシリ山を背景に広がる田畑を望むことができる。この農村風景も捨てがたい。北海道の農業用ダムでは珍しくダム天端も立ち入り可能である。
型式:ロックフィル
成年度:1985年
堤高/堤頂長:34m/294m
総貯水量:291万m3
水系名河川名:天塩川/風連別川